低価格の注文住宅専門の工務店がつくる家は、「低価格だから、デザインはしょうがない。」「高い性能は望めない」と、あなたの家づくり、どこかであきらめていませんか?
工務店でも、デザインに力を入れ、高い性能で冬暖かく、夏も涼しい家づくりに取り組んでいる会社が出てきています。しかも、大手のハウスメーカーなどよりも低価格です。
そんな家づくりに積極的に取り組んでいる二つの工務店の家づくりと、モデルハウスをご紹介しましょう。
「あまりお金はかけられないけどかっこいい家に住みたい」 最近は、そんな願いに応えてくれる、デザイン重視のローコスト住宅の工務店が増えています。
愛知県豊橋市に新たにオープンした「子育て安心住宅&デザインラボ」もその一つ。子育て世代にも手が届くローコストなデザイン住宅を提供しています。
なぜ安いのか? デザイン住宅をつくる際の注意点は? 同社代表の木越宏之輔氏とデザイン監修 井上朝美氏が、ローコストなデザイン住宅の秘密や業者選びのコツをお話しくださいました。
井上 朝美 (写真右)
大手ハウスメーカーでプランニングアドバイザーを務め、年間300棟を超えるプランデザインを監修。設計プランをCGでバーチャル体験できる“プランマジック”が好評。
木越 宏之輔 (写真左)
東海一円に展開する注文住宅工務店“サティスホールディングスグループ”のローコスト住宅工務店“子育て安心住宅&デザインラボ”代表。新事業スタートにあたり、新コンセプトのモデルハウスを公開中
井上:そもそも、住宅に限らず〝デザインされたものは高い〟というのは思い込みだと思います。確かに安藤忠雄氏や隈研吾氏のような著名な建築家のつくる建築物は高価ですが、たとえばイケアの商品は安いけどデザインがいいですよね。デザインがいいから高いとは限らない、安くてかっこいいデザインは可能です。
イケアの商品をデザインがいいと感じるのは、多くの人にとってかっこよく見えるデザインのルールを押さえているからです。ちょっと難しい話になりますが、普遍的な美のひとつに〝シンメトリー〟があります。シンメトリーの安定感が見る人に美を感じさせ、また整頓されている、使いやすいとイメージを与えるのです。 そこで、美しいデザインにするためには、シンメトリーに近づくようにすればいいわけです。水平垂直のラインを整えて余計な線をなくしていく。つまり、シンプル・イズ・ベストです
ただ、シンプルな家はつまらないんです。そこで、アクセントになるものをひとつつくると華やかになったり、引き締まったりします。たとえば真っ白なリビングに真っ赤なソファを置くとか、鮮やかな花を飾るとか。アクセントは家具や雑貨で十分、内装でつくる必要はありません。
そういう意味では、車やシンボルツリーも外観にとってのアクセントになり得ます。それらのアクセントがその家の特長、個性になるのです。
これまでデザイン住宅は、〝シンプル〟にあまり目を向けていませんでした。〝デザイン=盛ること〟という感覚で、装飾したり、色をたくさん使ったり、付け足すことで個性を出していました。だから高価になってしまうのです。
そうではなく、極力シンプルを目指す。余計な線をなくして、色数を押さえ、素材を生かす。そうすると必然的に価格は抑えられます。
木越:井上先生には、『子育て安心住宅&デザインラボ』を立ち上げるにあたって、まずそういったデザインのルールを考えていただきましたよね。
井上:そうです。デザインには、「近接」「整列」「強弱」「反復」という四大原則があるのですが、それを押さえることで美しく、かつローコストになる家づくりを考えました。
木越:あと、ローコストの理由について当社の場合で言うと、チーム体制で取り組んでいることも一つあげられます。一軒の設計を進めるのに、まずプロの設計士が原案をつくり、それをデザインチームである〝デザインラボ〟が監修します。
チームのメンバーは一級建築士の資格をもつ設計士が社内に一人、外部に一人、現場監督、保育士、そしてデザイナーの井上さん。みんな高いスキルを持っていて、しかも〝仕事が趣味〟みたいに好きな人ばかりです。一人あたりのこなせる量が多いから、早く、しかも楽しく仕事が進められ、コストも抑えられています。
“シンプル・イズ・ベスト”の発想で生まれる洗練されたデザイン。できるかぎり角をなくし、水平垂直方向にそろえたラインが均整の取れた美しさを感じさせ、色数を抑えた配色が上品な印象を与える。
特長的な部分をところどころに取り入れることで生まれる「統一感」。外観の“キューブ”をモチーフにした正方形の窓や畳がデザインの一貫性を感じさせる。リビングのアクセントにもなっている格子の仕切りは外装のルーバーとのなじみが良い。
シンプルな空間に置かれた「アクセント」はその家のシンボルとなるもの。好みの家具や雑貨で住む人の個性を表したい。清楚な花を飾ればやさしくナチュラルな雰囲気に。真っ赤なソファを置けばたちまちビビッドな空間に。
“キューブ”をモチーフにしたモダンな外観。大胆に使った横格子のルーバーが家のシンボルとなって人目を引く。硬質なブラックの外壁材とオーガニックな木目の組み合わせはカフェなどでよく見られる人気のスタイル。
木越:プランづくりはまずお客様のご要望をすべて聞くことから始まります。一般的には、その後間取りを重点的に進めていきますが、うちではかなり早い段階から外観のイメージをつくり、間取りと並行して進めていきます。
井上:デザイン住宅で外観は重要ですからね。間取りが固まってから外観を考えようとしても、屋根材を南仏風にするとか外壁の色を変えるとかそれぐらいしかできないのでいま一つの仕上がりになるんです。
今回、木越社長のモデルハウスでは、「キューブ型がいい」「リクシルのコートラインを使いたい」という木越社長の外観のご要望があったので、それを形にしてから内装を合わせたところもあります。キューブ型を意識して窓や畳に正方形を取り入れたので、デザイン住宅らしい統一感が出せたと思います。
木越:とてもカッコよくなりました。間取りと外観を同時に進める作業は複雑なので、お客様には、ご要望を聞いた後はある程度こちらにお任せいただくことをお伝えしています。
よく言われるのが、〝外観から考えた家は構造が弱かったり生活しづらかったりするのでは?〟ということですが、当社でチーム体制をとっている第一の目的は、そういったことを防ぐためです。
構造は二人の設計士がしっかりとチェックしますし、保育士も打ち合わせ中にお子様のお世話をするだけでなく、子育て目線で意見を出してもらっています。大勢の人の意見があったほうが絶対にプランはよくなりますから。
井上:それぞれが持ち場をしっかり守りながら、力を合わせてやっていく感じですね。こういうチーム体制は、ハウスメーカーでは一般的なのですが、工務店さんでは少ないと思います。
ただ、チーム体制を取っている業者にしても、デザインにこだわるならば、メンバーの中にデザインのプロがいるか確かめたほうがいいでしょう。
〝一級建築士さんがいるからカッコいい家になるはず〟と誤解される方が多いのですが、建築士の資格とは建築基準法など法律に則って設計や工事管理を行うためのものなので、デザインのセンスは問われません。建築士のセンスは経験で培われることが多いので、人によって大きな差が出ます。
木越:井上さんのようなデザイナーが本格的に関わっている工務店は確かに少ないです。建築士がデザインしている場合は、施工例をたくさん見せてもらってセンスが合うか確かめるといいですね。
それから、先ほども言いましたが、外観は重要なのでそこをきちんと提案してくれる会社を探すと良いと思います。
見た目と調和させながら住み心地にこだわった設計。機能性や楽しさが日々の生活を豊かにする。キューブの形状を生かした開放感のあるバルコニーは気分転換の場。明るく広い子ども部屋は、間仕切りで2部屋にできる仕様。室内の第一印象に大きく影響する玄関は広くゆとりのあるつくりに。
井上先生を交えたプランづくりの様子。
好評なのは、図面を CG にしてスクリーン上でバーチャル体験できる“プランマジック”。図面だけでは想像しにくい実際の様子を感覚的に体験できる。
「間取り変更、壁・ドア移動」「色変更」「ウォークスルー移動」「家具設置・移動」「グーグルマップ連動:窓の外の景色・365日24時間の陽当たり」を瞬時に変更できる。プランマジックは見学会イベントなどで随時実施している。
図面から、建物の外観や室内を立体的なイラスト(パース)をつくって見せてくれる。 形、角度、色、時間、所在地図を変えられるので、具体的な家の様子がわかる。
株式会社SHG 子育て安心住宅 & デザインラボ
[住所] 愛知県豊橋市新栄町字新田中64-1
[TEL] 0532-33-3137
[FAX] 0532-33-3138
[URL] https://www.kosodate-designlab.com/
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