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【イエマドα省エネ特集STEP2】エアコンで送ろう省エネライフ

知っていますか? エアコンはここ10年、あっと驚く進化を遂げています。最新エアコン事情をメーカーの方に解説してもらいました。

2019.01.09/イエマドアルファ編集部

教えてくれたのは日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社の木村さん(写真右)丸山さん(写真左)です。

センシング技術がすごい!人を見分け、風の送り分けも

エアコンは今や「省エネのお手本」と言われるまでになって、すごい進化を遂げましたね。これはやはりヒートポンプという仕組みのおかげなのですか?

 

木村 イエスであり、ノーであり、といったところですね。と言うのも、ヒートポンプという技術自体は古いもので、一般的に使われるようになってから、もう40~50年も経つほど。「エアコン=ヒートポンプ」と言ってもいいくらい当たり前の技術です。ここ10年ほど、ヒートポンプがエコキュートなどにも採用されるようになって、改めて注目を浴びているだけなんですね。

 

ただ、既存の技術とはいえ進歩も目覚ましい。1の電力を1の熱エネルギーにしか変換できない電気系の暖房機器などに比べると、今やその5~6倍ほど変換効率が良いというところまで進化しているので、圧倒的に省エネなんです。

なるほど、そうだったのですね。

 

木村 言うなれば、ヒートポンプの進化はハード面の進化です。その一方で、快適性というソフト面でもこの10年、エアコンは目を見張るほどの進化を遂げています。中でも注目はセンシング技術です。センサーやカメラが部屋に居る人の位置を検知し、体温や室温を計測することで、人ごとに風を当て分けるようなことが昨今は可能になっています。

人ごとにですか? すごいですね!

 

丸山 冷房シーンで言うなら、外から帰ってきたばかりの「暑い…」という人には、速く冷ましてあげられるように涼風を集中的に、逆にずっと在室している人には、冷え過ぎることのないよう風を絞ったり。これまでだと、暑がっている人に合わせて設定温度を下げるしか手立てがなかったのに比べると、便利だし大きな節電にもなります。

 

木村 少々我が社の宣伝めいてしまいますが言わせていただくと、センシング機能で人や肌温度を感知するところまではどのメーカーでもできていますが、日立ではさらに進んで、AさんとBさんを識別・特定することも可能になっています。

 

つまり「3人が部屋に居て、それぞれ○℃」ではなく、「部屋にABC3人居て、Aさんは入室直後に○℃、30分後に○℃」といったことを見分けられる優秀なものなんです。この技術のおかげで、より適切に風を当て分けることができるようになりました。

他にはどんな進化が?

 

木村 エアコン内部のお掃除機構も、各社が創意工夫を凝らしています。お掃除機構は大きく分けて2種類です。そもそもエアコン内部に汚れやカビなどが付着しにくい工夫と、フィルターを自動でお掃除するメカニズムとがあり、高級機種ほどその両方を備えています。エアコンの内部は一般ユーザーではなかなかメンテナンスできないので、大きな進化ですね。

 

あとは、これも快適性の追求に当たると思いますが、冷房だけでなく暖房能力のほうも格段にアップしたことは、特筆すべき進化かと思います。暖気は軽いので上昇する性質があって、足元を暖められないのがエアコンの弱点でしたが、それはほぼ解消しています。

 

外気温などの条件により誤差は当然ありますが、室温10℃でエアコンから3mという地点なら、約5分20秒で足元付近が20℃に急速暖房できるという実地の実験結果も弊社では得られています。冬の朝とかにはうれしいですよね。もっとも、タイマー起動にしておけば、もっとラクに暖かくできますけどね(笑)。

 

丸山 寒冷地での運転がよりパワフルになった「寒冷地専用機」も各社、充実してきていますから、エアコンが夏冬兼用というお宅は今後ますます増えるのではないでしょうか。

最新式エアコンはこんなにすごい!

もはやカメラやセンサーが人や肌温度を感知するのは珍しくありません。日立のセンシング技術では、「どの人物が」「どのくらい在室し」、かつ「体感温度の変化を予測」するところまで進化しているそう。写真のような気流の当て分けは、このテクノロジーあってこそ。

間取りを読み取る能力も

最先端のセンシング技術は、間取りや、間仕切りの変化も検知します。送風すべき範囲を自動で認識し、風量やスイング幅を調整。LDKにはうれしい機能。

 

「寒くならない」除湿に進化

ジメジメした日本の気候に効く除湿。以前は除湿をすると、室温の低下もまた避けられませんでしたが、今は優秀。室温をほぼキープしたまま除湿が可能になり、冷えすぎによる不快を抑えます。この「寒くならない」除湿、各メーカーで方法は異なりますが、日立の場合は、除湿後の冷えた空気と暖かい空気を混ぜて部屋に戻す「再熱方式」。室外機の排熱の一部を利用するため、あまりエネルギーを消費しない方式だそう。

エアコンはここを見る!

エアコンは「必要十分」で能力が発揮できないと、無駄な買い物になってしまいます。性能表示などの見方を教わりましょう。

エアコンの選び方は、何をどんな順序で考えていったらいいでしょうか?

 

丸山 何はともあれ、製品に付いた「統一省エネルギーラベル」を見て、省エネ性能ができるだけ高い(★が多い)ものを選ぶのがおすすめです。

 

木村 省エネを考えるなら、最低限守りたいルールですね。そして次に肝心なのは、「部屋に適した空調ができる製品を選ぶ」ことです。パワー不足で「暖かくない・涼しくない」になることはもちろん避けないとなりませんが、反対に、部屋に対してエアコンのパワーが勝り過ぎも勿体ない。何はさておいても「必要十分」が大切です。

 

ところが、エアコンは選び方が非常に難しく、どうしても価格に目が向きがちです。家電量販店などへ行くと、畳数が小さい機種のほうが低価格なので、みなさん、つい一番小さい6畳用の機種をチェックしてしまう。でもお尋ねすると「いえ、14畳の部屋で使うつもりです」と。安くない機器ですので、その心理はわからないでもないのですが。

部屋の広さに対してパワーの過不足があると、どんな問題が起こりますか?

 

木村 まず、部屋の広さにエアコンの性能が追いついていない(広さ>性能)場合は常にフル回転することになってしまい、そうした過大に働かせ過ぎる状況が続くと、機械が早く傷みます。車に例えると絶えずアクセルを吹かし過ぎている感じでしょうか。また、「冷えない・暖まらない」という現象の原因にもなります。

 

一方で、部屋に対してエアコンの性能が勝り過ぎている(広さ<性能)場合は、スポーツカーが渋滞の街中をトロトロ走らざるを得ない状況に似ています。性能が発揮できないし、非常に燃費も悪いですね。そもそもエアコンは、フル回転でもトロトロ運転でも効率が悪くて、最適な帯域の運転が続くのがもっとも省エネです。性能の適当でないエアコンを間違って選んでしまうと、どんなにグレードのいいものを買っても結局は無駄になってしまうので、気をつけたいところです。

では、よくエアコンに表示されている「6畳~8畳」などの「畳数の目安」をまずは守るのが鉄則ですね。

 

木村 ただ、ご存じない方が多いのですが、実はこれ、「6畳から8畳の広さの部屋に適しています」という意味ではないのでお気をつけください。小さい数字(6畳)は木造建物でエアコンを使う場合に適した畳数、大きい数字(8畳)は鉄筋コンクリート造(RC造)の建物の場合なんです。誤解している方が多いんですよね。

 

「どんな部屋に設置するか」もエアコン選びの大事なポイント

お恥ずかしながら例に漏れず、最近まで知りませんでした。

 

木村 RC造の建物のほうが気密性や断熱性が優れているため、空調の効きが良く、広い畳数をまかなえるからなんです。最近の高性能な木造住宅は断熱性・気密性に富んでいますから、そういうお宅ならRC造のほうの畳数で選んでいいかと思います。

 

本当は、そろそろ日本の住宅事情に合わせてエアコンの畳数表示も考え直すべきときに来ているのかもしれませんね。家の断熱性や気密性はどんどん進化しているのに、畳数表示のルールだけは何十年も変わっていません。まあ、昔ながらの住宅に住んでいる方も多いので、表示を切り替えるわけにもいかず、メーカーも対応が難しくて困っているというのが実状です。

畳数に相応しいエアコン能力がわかったら、次は機能で比較すればいいですか?

 

木村 いえ、その前に「どんな部屋に設置するか」で一度能力を検討し直したほうがいいでしょう。たとえば木造6畳用だったら、「2・2~2・5kW」という能力のエアコンをまずは検討しますが、設置する部屋が2階の南向きか、1階の北向きかによって、再考することが大切です。

 

1階ならそのまま2・2kWのもので構いませんが、2階に設置するなら能力が一つ上位のものを選ばないとパワーが足りない場合があるからです。最近は家の断熱性が良くなっているとは言え、それでもやはり2階など屋根に接している階の南面は暑いものです。せっかく購入していただくのに「冷えない・暖まらない」というのは切ない話ですので、南向き・北向き、何階建ての何階部分かなど、設置する部屋によって能力はよく検討してください。

エアコンの正しい選び方

最終的にエアコンはどんなものを選ぶべき? エアコンの機能と、設置する部屋での過ごし方を見極めて選ぶことが大切です。

目安畳数と設置場所の関係はわかりました。ですが、同じ能力で比較してもだいぶ機能と値段に差があって、正直なところ、どれを選んだら良いのか?

 

木村 メーカー各社が製造するエアコンは、だいたい3つのグレードに分類できます。もっともハイグレードなのが、便利な機能を盛り込んで、製造にも宣伝にもお金をかける主力商品「プレミアム機」です。ラインナップは6畳用から29畳用までメーカーによって異なりますが、メインのターゲット空間はリビングやLDKです。各社とも知恵と工夫を凝らし、さまざまなニーズに応えるべく粉骨砕身する機種と言い換えてもいいでしょう。

 

2番目が「スタンダード(標準)機」。これは主に寝室や子供部屋などの個室向けですね。プレミアムタイプよりは少し機能が減り、省エネ性も劣ります。

 

最後が「普及機」で、これはたとえば書斎や客間など、それほど頻繁に使う部屋ではないけれど、やはりエアコンは備えておきたいといった空間用と考えていただけるといいでしょう。価格帯は最安で、機能もごく基本の「冷やす・暖める」にほぼ絞られます。

 

丸山 我々メーカーの人間としては、できれば値段だけにとらわれず、日頃使う部屋にはプレミアム機かスタンダード機を選んでいただけるとうれしいですし、開発のしがいもありますね。

なぜ、そんなにグレードを分けて製造するのですか?

 

木村 やはり空間によって人の過ごし方が異なるからですね。部屋の特性に合わせて、「便利・快適」から「冷やせればいい・暖まればいい」まで機種を選び分けていただけるようにです。

 

たとえばLDKは家族が集まる主たる空間ですから、複数人が長時間滞在します。ダイニング側やリビング側のどちらかに寄って滞在することもあれば、広い空間に点在することもあって、空間の使い方のバリエーションが広い。対面キッチンのお宅も今は増えているので室内の油汚れも避けて通れません。温度変化を人ごとに見守ったり、風を繊細に当て分けたり、お掃除機構が充実していたり、多機能であることでLDKのいろいろな状況に対応できるのがプレミアム機なんです。

 

一方、子供部屋に目を向けてみると、面積も大きくないし、平日の昼間は学校で不在だし、「普及機で十分かな?」と考えがちです。ところが、子供というのは電気代を気にしないし、加減も知らないので使い放題(笑)。かと思うと休日や夏休みなどは部屋にこもって過ごしがち。そんなこともあって、プレミアム機とは言わないまでも、意外と子供部屋にはオートセーブ機能などを備えた「ほどほどに高機能」なスタンダード機のほうが向いていることが多いんです。

「通年使う設備」という意識でエアコンは選んで欲しい

ただ一方で「エアコンに多くは望まない、シンプルに暖めたり冷やしたりしてくれれば十分」という消費者がいるのも事実ですよね。異議はありますか?

 

木村 今やエアコンは暖房性能も高くなっていますし、給油の手間がかからないなどの理由から、「基本的に年中使うもの」に様変わりしつつあります。その点、お手入れがラクになる「お掃除機構」は大変重宝します。

 

しかし、大抵はスタンダード機より上の製品にしか付いていません。また、蒸し暑い日本だからこそ除湿は大切ですが、健康面に配慮した「冷やし過ぎない」除湿機構が付いているのもスタンダード機以上。エアコンは通年で使う機器になったからこそ、普及機よりも上位機種を選んでいただきたいというところですね。

 

丸山 もちろん省エネ性やランニングコストの点でも、上位機種は優位です。

 

木村 言うなれば「価格は正直」なんですね(笑)。エアコンは最低でも10年は使うものですから、価格だけでなく、ほかの部分にも目を向けていただければうれしいです。

 

また、テレビなどと違って、家電のようでいて家電でないのがエアコン。むしろ「住宅設備」のような位置付けと考え、じっくりと吟味することをおすすめします。新築の際であれば、間取りや、断熱性・気密性などの家の性能などと照らし合わせ、工務店さんなどと相談しながら選ぶと無駄がないと思います。

新築時のヒント!その①マルチエアコン

家の新築時は計画的なエアコン導入のチャンス。複数台の室内機を1台の室外機で運転できるマルチシステム。メーカーや機種によりますが、最大で4~5台のエアコンを接続することが可能、お庭がスッキリ!

新築時のヒント!その②埋め込みタイプ

でっぱりが気にならない天井埋め込み式(上)と壁埋め込み式(下)。部屋の雰囲気に合わせて化粧パネルを選べることが多いよう。埋め込み式はお掃除やお手入れがラクな製品を選ぶことが必須です。

エアコンの「上手な」使い方

エアコンと空気の撹拌器(扇風機、サーキュレーター、シーリングファンなど)を併用すると良い、というのは本当です。暖気は軽いので上に、冷気は逆に重いので下に、それぞれ溜まりがち。それを撹拌してあげると、部屋全体が効率良く適温になります。健康とお財布に優しい使い方と言えるでしょう。

 

もちろん、エアコンがベストな状態で働けるよう、お手入れもお忘れなく。最近はフィルターのお掃除を自動でしてくれる機種もあるため、全般にお手入れはラクな傾向にありますが、それでもリビングに設置してあるエアコンなどは要注意。自動お掃除で埃は取れても、油汚れは取れません。我が家のエアコンは「何ができて、何ができない」のかを把握して、適切なお手入れを心がけましょう。

 

ただし、室外機のお掃除は業者の方にお願いしましょう。不慣れな私達が手を出してしまうことで、かえって不具合が出る場合があります。それよりは、室外機がフルに働けるよう周囲にものを置かないこと。これが重要です。

 

いかがでしたか?次回は、省エネ効果が最大限に生きる、高性能な家をつくるポイントをお伝えします。地球のためにも、家計のためにも賢く省エネしていきましょう。

 

構成・文◎鈴木キャッシー裕子 イラスト◎長尾映美 撮影◎山田晋也