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和の形式美を感じながら自然素材の安心に包まれる家

畳張りの居間とフローリングのダイニングキッチンが、ご夫妻の憩いの場。「家は本来、何も置かないほうが美しい」と話すご夫妻は腰壁や欄間、襖など、造作そのものの美しさを引き立たせるため、できるだけシンプルにしている。

2019.02.04/イエマドアルファ編集部

熟練の技を信頼するからこそ納得できるまで妥協しない

小屋裏のあるS様邸は、ご主人が趣味の家庭菜園を楽しむ裏庭側に向かって、屋根の傾斜をなだらかに。積雪時を考慮した屋根の形状だ。なお、玄関には愛猫専用の出入口も。

玄関から一歩足を踏み入れた瞬間、床のふわふわとした足触りに驚きます。S様ご夫妻が家づくりの最初に決めたのが、この会津特産の桐の無垢材を使った床でした。「周りの家は床暖房が多かったけど、床暖房は1年で数ヵ月しか使わない。桐の床なら通年暖かく、何より美しいと思いました。本物の自然素材は安心だし、コストも床暖房より抑えられると聞いて」とご主人。

 

東日本大震災によって自宅が帰還困難区域に指定され、仮住まいを余儀なくされたご夫妻。奥様にとっては生まれ育った土地であり、「安全神話が崩れるとはこのことでした。そして、おそらくこれが最後の家づくり。絶対に妥協しない」という思いを原点に新たに家づくりを始めました。

 

一番力を入れたという玄関は、杉とヒノキの柱、格天井、桐の床、ケヤキの下駄箱、ナラの収納扉が。ダイニングと接する壁には愛猫専用の出入口も。

居間は朝陽の入る南東に。天気の良い日には南側の窓から磐梯山が望める。奥様の希望で、1階の部屋はすべて開き戸から引き戸へ。明かり採りのため、採光性の高いガラス戸を選んだ。雪見障子や和テイストの照明も情緒が豊かだ。

キッチンは家事動線と大きな収納に注力。壁側に加え、キッチン上部にも食器棚を。また、駐車場へ出入りできる勝手口を設けて、買い物の荷物の出し入れも楽々。

伝統的なつくりが美しい和室。華道の家元である奥様にとって欠かせない床の間には、エンジの木を化粧柱に用いたほか、網代張り天井などの造作も見事。写真奥はご主人の寝室。

以前の家にもあったことから、「どうしても欲しかった」という回り廊下。夏場は縁側での夕涼みが気持ちいい。雪見障子と襖は枠組を無垢材で仕上げた。

日本の伝統が感じられる美しい和の空間

仮設住宅からほど近い同地が売りに出ているのを偶然チラシで見つけて即決。同時期に、家づくりを始めていた仮設住宅仲間から紹介されたデバイス・ホームの完成見学会に訪れたところ、和室に力を入れている点が気に入って決断したと言います。「和室が一番落ち着くし、日本の伝統が感じられる家をつくりたかったんです」とご主人。

 

「床を桐の無垢材にするなら」と、棟梁のすすめで玄関の二本の柱には、100年ものの立派な杉とヒノキを選びました。すると、すでに設置されていた合板の収納扉や下駄箱との品質差が気になり始めたそうです。結局それらは取り外し、ナラ材の収納扉と特注のケヤキ製下駄箱へ付け替えることに。「せっかくなら、気に入った本物の自然素材に囲まれて暮らしたい」という思いから、設計通りに完成していた部分も、納得できないところは再度要望を伝えてつくり変えてもらったと言います。

 

「棟梁の〝できるよ〟という言葉に何度も救われました。それが原動力でした。自分たちのこだわりを、その都度きちんと聞き入れてくれたのがうれしかった」という奥様は、デバイス・ホームへの信頼をこう続けます。「少しでも面倒がる素振りがあったら、あきらめていたかもしれない。けれど、最後まで真摯に応えてくれました」。品質の高い素材に囲まれ、落ち着いた暮らしを取り戻せたご夫妻の笑顔もまた、本物の輝きにあふれていました。

二間続きの洋間は回り廊下とつながって1階全体を回遊できるつくり。一番奥(写真手前)に位置する西南の洋室は、洋裁を仕事にする奥様の事務部屋として。デスク横の窓からはご主人が家庭菜園で楽しむ姿も見える。なお、写真奥の洋室と小屋裏は他所で暮らす二人のお嬢様が帰省したときに重宝する。

「車いす生活を覚悟した時期もあった」というご主人のために、将来的なことも考えて十分な広さを確保したトイレと脱衣洗面室と浴室。1階の床はすべて桐材でバリアフリーに。

会津特有の屋根形状によって十分な高さが得られたことから、完成後、小屋裏を客間に改築し、2階として活用。二つの部屋は、それぞれ8畳程度と広い。天窓のほか、部屋と階段の境界壁に採光窓を取り付けるなど、光にあふれた空間となっている。ホールには玄関用の下駄箱を置いた。

プラスアドバイス

湿気知らず! 桐仕上げの押入れ兼タンス
湿気をためやすい押入れの内側に桐を張ってもらうことで、防湿効果を得ることができました。桐は抗菌性もあるので、ダニなどの虫もつきにくいそうです。それと中板に引き出しもつけてもらったのでタンス代わりにもなります。(奥様)

匠の技が光る和情緒あふれる造作の数々。上から透かし手彫りが見事な桐の欄間、玄関と和室を彩る格天井、床の間の天井には伝統的な網代が施された。

担当の荒川さん(左)と。「自分たちだけでは、ここまでこだわることができなかった。本当に感謝しています」とご夫妻。

紹介したお家の基本情報

構造:木造

延べ床面積:154.85㎡

階数:2階

工務店情報

会社名:株式会社デバイス・ホーム 

所在地:福島県会津若松市南千石町3-12(本社)

連絡先:0242-29-8781

FAX:0242-29-8791

http://www.luckydakara.com

メール:info@luckydakara.com          

間取り

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